女子の体育の着替えを盗撮、生徒間で売買……奈良中2「盗撮グループ」のあきれた“手口”
「週刊文春」編集部 2020/03/07 17:40
「集団盗撮に関わっていた男子生徒たちは、1カ所の教室に集められ、毎日朝から反省文を書かされているそうです。しかも彼らは校内で女子生徒に会わないように、朝早く登校させられ、帰りは他の生徒より少し早い15時半頃に下校するよう先生から言われています」(同級生)
奈良県生駒市にある市立のA中学校において、2年生の男子生徒が集団で、同じ学年の女子生徒を盗撮していたことが報じられたのは2月10日のことだ。
LINEで盗撮画像を共有、生徒間で売買
「男子生徒らは女子生徒のスカート内や着替えを隠し撮りしていました。被害に遭った女子生徒は十数人にのぼるとみられ、驚くことに彼らは無料通信アプリ『LINE』で盗撮画像を共有。さらに生徒間で、100円から1000円という値段で売買していたというのです。
事件発覚後、約250名の保護者が学校に集まり、校長などから事情説明と謝罪がありました。現在は市の教育委員会と警察が、被害の実態について調査を行っています」(地元記者)
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事件発覚の発端について、学校関係者はこう語る。
「男子生徒たちが、ある女子生徒に対して『〇〇のおっぱい』などと卑猥な言葉や、あだ名をつけたりする行為を行っていたとして、保護者や生徒からイジメの訴えがあったため、学校側が調査に乗り出したのです。始業前、イジメに関わったとされる男子生徒たちを別室に呼び、事情を聞いていたところ、その様子を見ていた別の男子生徒が教員に、『盗撮のことで話を聞いているの? そのことなら自分も知っている』と話したことで、『えっ! 盗撮って何だ?』と。学校側が男子生徒らにあらためて事情を聞くと、盗撮の事実を認めたのです。その後、学校側が生徒らのスマホを確認したところ、隠し撮りされた画像も見つかった。警察に調査の協力を要請していますが、学校側としては事件化させるつもりはないようです」
体育の授業前に着替える女子生徒を撮影
生駒山の麓に建つA中学校は、全校生徒が500人弱で、野鳥観察や登山といったクラブ活動も盛んである。そんな自然豊かな環境の中学校で起きた盗撮騒動は、地元に大きな衝撃を与えた。だが、それ以上に関係者を驚かせたのは、盗撮をした複数の“主犯格”たちが、いずれもごく普通の中学生だということだった。
学ランを着た下校中の同級生が重い口を開いた。
「実際に盗撮をしていた主犯は3人で、その他、盗撮画像を見たりしていた仲間も入れると11人くらいが関わっています。主犯格の奴らは、おちゃらけたグループですが、クラスのリーダー的な存在ではないし、グレているわけでもなく、ホンマに普通。運動部に入っていますが、特にモテる感じでもなく、彼女もいません。成績も中くらい。今回の事件を起こし、転校するらしいと聞いています」
中学校を舞台にした盗撮事件は毎年のように全国で起こっている。昨年12月には、大分県の中学校で授業中にスマートフォンを使って女子生徒のスカート内を盗撮した事件が発覚。50代の男性教諭が懲戒免職処分になった。
だが、明るみに出るのは教諭による事件ばかりで、生徒が犯人というのは極めて異例なケースである。
A中学校の保護者が、その手口について説明する。
「教室の後ろにある棚にスマホのカメラを仕掛け、体育の授業前に着替える女子生徒を撮影していたそうです。ただ、冬場でインナーシャツなどを着ていたため下着が映っている写真はなかったといいます。スカート内の画像も、足の下の方が映ったものがあったと学校から聞いています」
まだ見つかっていない“ある動画”とは?
さらに別の同級生は、盗撮の実態について、こう証言した。
「盗撮は去年の2学期に入ってからやっていて、実はクラスのほとんどが、彼らが盗撮していることを知っていました。学校はスマホ持ち込み禁止でしたが、内緒で持ち込んでいて、例えばふざけて『ワーッ』と床に寝転んだ拍子に、女子のスカートの中をパチッと撮ったりしていましたから。それが段々エスカレートし、更衣室で撮ったり、お金を出し合ってペン型のカメラを3台買い、それを校内に持ち込んでいろんな場所で隠し撮りをしていました」
生徒同士はLINE上のグループで繋がっていて、盗撮した画像を共有していたという。
「実は自分も画像をチラッと見たことはありますが、何も映っていなかったです。だけど撮ったものを売っていたのは知っています。何が写っていたかは知りませんが、LINEで動画や画像を送信し、学校内で現金100円を受け取っているのを見たことがあります。
本人たちは、まさかこんなに大事になるとは思わなくて、号泣していた奴もいたそうです。中には『ちゃんと女子に謝った方がいい』と主張した奴もいたらしいのですが、学校側から『今は相手の親を刺激するから(謝罪に行くのは)ダメだ』と止められていると話していました」(同前)
こうした中、生徒や保護者の間では、こんな話まで持ち上がっているという。
「まだ見つかっていない動画が存在すると噂されていて、それは女子トイレの盗撮動画です。彼らが撮ったものを、動画投稿サイトの『ユーチューブ』に流していたのではないかとも言われているのです」(別の学校関係者)
数千円で買えるペン型カメラ
盗撮事件などに詳しいジャーナリストが解説する。
「ユーチューブに投稿している噂が事実であれば、既に画像はネット上に拡散し、取り返しのつかない事態になっているでしょう。いまカメラは小型で高画質化が進み、小指ほどの大きさのカメラや、清涼菓子『フリスク』に似せたカメラなどもあります。ペン型カメラは数千円から買え、2万円も出せば、画像をスマホで確認しながら撮影できる通信機能を備えたものも手に入ります。教室の片隅にペン型カメラを置いておき、離れた場所から隠し撮り画像を見ることもできます。こうした製品は今、未成年でもネット通販で簡単に買える状況になっています」
教育評論家の尾木直樹氏は、こう警鐘を鳴らす。
「これはネット時代の特徴が出た事件ですね。生駒市の学校だけではなく、全国でいつ起きてもおかしくないでしょう。今後どういう教育ができるかが問われます。道徳教育だけでなく、相手への想像力や、そういう欲望があったとしても相手の気持ちを予測できる能力をもっと磨かないといけないですよね」
一連の盗撮騒動について、A中学校の校長は小誌の取材にこう答えた。
「(保護者は)かなり心配されております。トイレ内での撮影の噂はありましたが、これは事実ではないと思います。女性教諭が必ず休み時間、授業の前後で(個室の)中を確認し、いまは安心して使ってもらっています。(盗撮動画は)学校でもチェックはしていますが、子供たちが全ての機器を(学校や警察に)提出しているということは我々も考えていません。
今後はこんなことが絶対ないように、機器の扱い方ではなくて、心の問題として、規範意識を高める内容で(指導を)進めていきたいと思っています」
学校では今、スクールカウンセラーが生徒たちの心のケアにあたっている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年2月27日号)
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