甲賀 大輔 (Daisuke Koga) – オスミウム浸軟法 – 研究キーワード …
講座 走査型電子顕微鏡によるゴルジ装置の形態解析2831. はじめにゴルジ装置は,1898年にイタリアの病理学者CamilloGolgiによって,鍍銀染色を行ったフクロウの小脳プルキンエ細胞の中にはじめて見い出された.その後,その構造について光学顕微鏡(光顕)や電子顕微鏡により,多数の研究がおこなわれてきた.今では,透過型電子顕微鏡(透過電顕)で観察したゴルジ装置が,扁平な槽(cistern)の積み重なりによってできており,基本的にはシス最表槽,中間槽,トランス最表槽の三つの要素からなることが知られている.ところで,光顕のオスミウム染色や鍍銀染色によって調べられてきたゴルジ装置の全体像はなかなか複雑で,単純な模式図ではあらわせない多様な形状をしている1,2).しかし,透過電顕による超薄切片の観察では,この複雑で立体的なゴルジ装置の形状を理解することはかなり難しい.そこで,オスミウム染色や組織化学染色などを施した厚切り切片の高圧電顕観察がゴルジ装置の立体微細構造の研究に試みられてきた3~8).また近年では,電顕トモグラフィーによるゴルジ装置の立体再構築も行われている9~13).一方で,走査型電子顕微鏡(走査電顕)によるゴルジ装置の研究は,これまでそれほど多くない14~16).しかし,走査電顕が透過電顕に比べ焦点深度が深く,試料を立体的に観察できることを思えば,ゴルジ装置の複雑な構造を解明するのに有効な顕微鏡であることが容易に想像される.そこで私たちはこれまで,高分解能走査電顕を用いてゴルジ装置の微細構造の解明を試みてきた.本稿では,ゴルジ装置が良く発達した3種の細胞,すなわち,精巣上体管の主細胞,下垂体の性腺刺激ホルモン産生細胞,脊髄神経節細胞を走査電顕で観察した結果について,特に1)ゴルジ装置の全体形状,2)ゴルジ層板,3)シス最表槽の微細構造,4)トランス最表槽の微細構造,に注目して述べる.2. 走査電顕によるゴルジ装置の観察法走査電顕で,ゴルジ装置やミトコンドリア,小胞体などの膜性細胞小器官を観察するには,田中ら17,18)が開発したオスミウム浸軟法が有用である.そこで私たちはこの方法を用い,ラットの種々の細胞のゴルジ装置の観察を行っている.まず,麻酔した実験動物を0.5%のグルタールアルデヒドと0.5%のパラホルムアルデヒドの混合液で灌流固定を行い,さらに1%の四酸化オスミウム水溶液で1時間固定をする.次にこの試料を,50%のジメチルスルホキシドに浸漬した状態で凍結割断を行い,その後,0.1%四酸化オスミウム水溶液に,70時間ほど浸漬することで浸軟処理を行う.浸軟処理を終えた試料は,タンニン酸と四酸化オスミウムによる導電染色,エタノール上昇系列による脱水,臨界点乾燥を行い,金属コーティングを施した後に,走査電顕で観察する.この方法により細胞内の可溶性成分と細胞骨格は溶け去り,膜成分とリボソーム,クロマチンのみが残される.またゴルジ装置の観察には,数万倍という高分解能が必要とされるので,私たちは通常,電界放出型走査電顕(S-5000, Hitachi)を用いている.走査型電子顕微鏡によるゴルジ装置の形態解析
NHK 一週間放置する。
田中敬一 鳥取大学医学部解剖学教室
細胞の中を立体に撮ることができる。
サイエンスゼロNHK 2020-06-13 11:00より